子供の皮膚病は一時的な症状で改善するものが多いです。一方で適切な治療や日常生活の注意ができないと皮疹の出没を繰り返すことが多いのも子供の皮膚病の特徴です。皮膚症状から何が原因で皮疹が出ているか探りながら、日常生活の注意点も提案しながら治療を行います。
乳児湿疹は、皮脂腺が多く分布する額や頭、擦れやすい部位でよくみられます。皮脂やカビの一種であるマラセチアが関係しているといわれています。新生児期から乳児期初期には生理的に脂腺機能が亢進するため乳児期によく出現します。多くは2歳頃までに治癒します。外用治療と適切なスキンケアで治療が可能です。
乾燥肌は、皮膚の角質層の水分が少なくなって皮膚のバリア機能が損なわれている状態です。粉をふいたようになる場合や、肌がポロポロと落ちる症状が出る方もいます。バリア機能の低下により、外部からの刺激に敏感になり、皮膚の炎症やかゆみなどの症状につながります。石鹸による過剰な洗浄や、保湿不足、空気の乾燥など悪化要因は様々です。適切なケアと予防を行うことで良い状態を維持できます。
おむつで覆われている部位に皮膚炎が起きている状態です。主な原因は、尿や便に含まれているアンモニアなどです。さらに、おしりを拭く際の摩擦行為などの外的な刺激により、皮膚のただれ、赤いブツブツがみられるようになります。このような症状がみられた場合は患部を清潔に保ってください。改善しない場合は外用治療が必要となるため早めに受診しましょう。
よだれによる刺激によって肌がかぶれてしまうことで起こります。風邪をひいているときに鼻が詰まりよだれが出ている場合や、おしゃぶりで常によだれがつく場合、口をなめてしまうような場合にみられます。患部を清潔に保ち、よだれが付かないような予防方法と外用治療が必要となります。
水イボはポックスウイルスによる皮膚感染症です。小児期に起こることが多く、とくに乾燥肌やアトピー性皮膚炎の方が増えやすい傾向があります。白っぽい膿を持った水疱の様な皮疹が出現します。患部を引っ掻いてしまうと他の部位に移る場合があります。治療は専用のピンセットで一つずつ摘まんで内容物を除去する方法や、液体窒素療法などがあります。子供は皮膚が薄いため液体窒素で数秒治療すると強い痛みがなく治療できる場合が多いです。
皮膚への細菌感染によって発症します。掻き傷やアトピー性皮膚炎の皮膚バリア機能が低下している部位に細菌が付くことでとびひになる場合があります。夏季に多い疾患で、子供では黄色ブドウ球菌による水疱性膿痂疹が主です。傷の面がジュクジュクして黄色い膿が付いたように見えることが多いです。抗菌薬の外用薬と症状によって内服治療を行います。皮膚を石鹸で洗い清潔を保つ、タオルを専用にするなど生活の工夫が必要です。
手足口病は、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスが原因となります。3~5日程度の潜伏期間があり、主に口の中や手足に小さな水疱ができます。夏に流行しやすく、とくに4歳以下の子供によくみられます。ウイルスの型によって重症化する場合があります。
パルボウイルスB19に感染すると、2~3週間の潜伏期間のあとに両頬に真っ赤な発疹が現れます。これがりんごのように赤くなることから「りんご病」と呼ばれるようになりました。頬だけでなく、腕や足といった部位にも赤い発疹がみられることがあります。この疾患は小児期に発症することが多いですが、成人になってから発症することもあり、症状が重くなる場合もあります。この疾患に対しての治療はありませんが、安静にして熱や関節痛に鎮痛薬を使用していくことで自然に治ることが多いです。
あざには、赤あざ、青あざ、茶あざなどの種類があります。このうち赤あざは、単純性血管腫や苺状血管腫が代表的です。単純性血管腫は、血管が異常に増殖・拡張することによって発生します。苺状血管腫は、生後間もなく発症しますが、小学校低学年の頃には消失することが多いです。大きさや部位によって視力など機能に障害が生じる場合には積極的に治療を行う必要があります。青あざには、太田母斑などがあります。これはメラノサイトが増えて起きるもので、目の周囲や頬など顔面の片側によくみられます。茶あざには、全身の様々な場所に発生する扁平母斑などがあります。