一般皮膚科とはDERMATOLOGY

一般皮膚科

一般皮膚科が扱う疾患にはたくさんの種類があります。そのなかには、すぐに治るものもありますが、気長につき合っていく必要のある疾患も数多くあります。原因がわからなければ症状が再発する疾患も多くあるため、一度の診察で原因がわからない場合でも診察のたびに手がかりを探りながら治療を行っていきます。皮膚の異常がみられたときは、お早めにご相談ください。

主な疾患

湿疹 しっしん、皮膚炎 ひふえん

湿疹・皮膚炎で皮膚科を受診される方は非常に多くみられます。皮膚にブツブツや小さな水ぶくれ、赤みが出現し、かゆみを伴います。頻度の多いものは、乾燥(皮脂欠乏性湿疹)、皮脂による皮膚炎(脂漏性皮膚炎)、湿布や金属によるかぶれ(接触皮膚炎)、手湿疹などです。かゆみを伴うため、ついつい掻いてしまいがちですが、掻くと悪化していく一方で治りにくくなります。手荒れや皮脂欠乏の場合は、炎症を抑える外用薬と保湿が必要です。

かんたんかいせつ【手湿疹】

あせも(汗疹 かんしん

汗管という汗の管が詰まることにより、周囲に炎症を起こして水ぶくれができる疾患です。夏場の暑いときに症状が出やすくなります。薬物治療を行わなくても2~3日で症状が治まるものもありますが、皮膚の状態によってはステロイド外用薬を使用します。細菌感染しているときは、抗生剤を用いることもあります。

ニキビ(尋常性ざ瘡 じんじょうせいざそう

ニキビは、思春期によくみられる身近な皮膚疾患です。アンドロゲンというホルモンの分泌亢進により、皮脂が過剰に分泌され、毛穴が詰まってしまうことが主な原因です。過剰に分泌された皮脂が毛穴に溜まると、アクネ菌が増殖して症状を悪化させます。なお、思春期を過ぎた成人期でも、ホルモンバランスの乱れ、睡眠不足、紫外線、ストレスや生活環境など、様々な要因が複雑に絡み合ってニキビができます。
治療法は、ニキビの重症度を判断したうえで、薬物療法と生活習慣の見直しを行います。使用する薬は、抗生物質やニキビをできにくくする外用薬、漢方薬などの内服薬もあります。

かんたんかいせつ【尋常性ざ瘡】

漢方薬

やけど(熱傷 ねっしょう

やけどは、日常生活でよく起こる外傷のひとつです。やかんやポットの熱湯を浴びてしまった、コーヒーやお茶をこぼした、ストーブやアイロンなどに接触したなど、様々なケースがあります。やけどになった場合は、水道水ですぐに冷やすことが肝心です。これにより、受傷した部位の炎症が抑えられます。
治療としては、炎症のみの場合はステロイド外用薬を使用、傷になっている場合は抗菌外用薬を一緒に使用することもあります。適正に対処しなかった場合、細菌感染を起こすことがあるため、受傷後早期から医療機関を受診してください。
やけどが広範囲の場合は点滴など全身管理が必要です。このような場合は、当院と提携している医療機関をご紹介いたします。

できもの(腫瘍 しゅよう

皮膚のできものには、良性と悪性があります。良性腫瘍には、粉瘤やホクロ(母斑)、イボ(疣贅)、石灰化上皮腫、脂肪腫、粘液嚢腫などの疾患があります。悪性腫瘍には有棘細胞がん、基底細胞がん、悪性黒色腫などがあります。良悪性の判断のために、外観、拡大鏡(ダーモスコープ検査)、超音波検査などを行い、まずは痛みを伴わない方法で検査を行います。その上で、詳しい検査が必要な場合にはできものの一部を切除して検査する皮膚生検で診断をつけて治療を進めていきます。

ダーモスコピー

病理検査(皮膚生検)

乾癬 かんせん

乾癬は、炎症性角化症という分野に分類される皮膚疾患です。ガサガサした皮膚からでる白い粉(鱗屑)がついた、赤みとかゆみのある皮疹が特徴的です。擦れる場所に皮疹がやすく、頭部、肘、膝、臀部、下腿などが治りにくい部位です。乾癬による関節炎により関節の変形が起きる場合もあります。また、乾癬に関連して目、心臓、胃腸などにも様々な症状が起こる場合があります。
治療は、重症度に応じて様々ですが、軽症であればステロイド外用薬やビタミンD3外用薬が主に使われます。皮膚病変が強い部分には紫外線療法を行う場合があります。関節症状がある場合や、皮疹が中等度以上であれば内服薬や生物学的製剤という注射による治療が勧められます。

かんたんかいせつ【乾癬】

白斑 はくはん

白斑は皮膚の色が白く抜けてしまう疾患です。白斑で多い尋常性白斑は、何らかの原因でメラノサイトが壊されてしまい、色素のもととなっているメラニンの産生が極度に低下・消失します。詳しい原因は明らかになっていませんが、自己免疫異常によってメラニンが破壊されることなどが指摘されています。白斑を起こす原疾患の有無を血液検査で調べた上で治療を行います。治療としては、ナローバンドUVB(紫外線)療法がよく行われます。UVBのなかでも狭い範囲の紫外線光源を使用して皮膚の状態を改善させます。外用薬による治療も効果が得られる場合があります。

紫外線治療

脱毛症 だつもうしょう

脱毛症にはいくつもの種類がありますが、代表的なものとして円形脱毛症があります。頭に脱毛斑が何の前触れもなく生じます。脱毛斑は一ヵ所のみではなく、まだらのように多発することもあれば、頭部全体に及ぶ場合もあります。脱毛斑が小さい場合は目立たず自然に治ることも多いですが、外用薬や内服を使用して治療することが多いです。その他の治療法として、紫外線療法、ステロイドの局所注射、局所免疫療法などがあります。

紫外線治療

帯状疱疹 たいじょうほうしん

過労や高齢によって免疫機能が低下すると、体に潜んでいた水痘・帯状疱疹ウイルスが再活性化して帯状疱疹として現れます。主な症状は、体の片側に痛みと小水疱が帯状にできます。部位や程度によって顔面神経麻痺、排尿障害などを合併することもあります。この疾患は痛みに悩まされることが多く、帯状疱疹後疼痛として長い間痛みが残ってしまうことがあります。そのため、なるべく早い段階で皮膚科を受診することが大切です。
治療は抗ウイルス薬を使用し、同時に痛みの治療も行っていきます。帯状疱疹後神経痛に悩まされる方は多いですが、内服薬の調整を行い徐々に痛みは和らいでいきます。予防には帯状疱疹ワクチンの接種がありますので医師にご相談ください。

かんたんかいせつ【帯状疱疹】

帯状疱疹ワクチン

水虫・たむし(白癬 はくせん

白癬菌というカビ(真菌)の一種が原因となる疾患です。皮膚の角質に白癬菌が感染・増殖し発症します。足に起これば足白癬、足爪では足爪白癬、体では体部白癬(たむし)といいます。足爪白癬は、爪が生え変わることでやっと治るため、治療が終了するまでに長い期間を要します。早い段階で治療を開始することで治療期間は短く済みます。爪白癬は内服薬による治療が推奨されています。定期的に血液検査を行い副作用に注意しながら治療を行っていきます。
通常の足白癬とは異なる、ペットから感染する場合や柔道・レスリング・相撲などのスポーツを通じて感染する特殊な白癬もあります。原因菌をはっきりとさせて治療を行うことが大切です。

かんたんかいせつ【白癬】

「水虫」が疑われる場合

おでき(毛包炎 もうほうえん、炎症性粉瘤 えんしょうせいふんりゅう

黄色ブドウ球菌などが毛穴に侵入することで、炎症が起き、腫れあがることがあります。毛孔の炎症である毛包炎として生じる場合もあれば、角質の詰まった粉瘤に感染を生じて炎症性粉瘤となる場合もあります。毛包炎の場合は多発する場合もあります。治療は、膿がたまっている場合には排膿を行い、抗菌薬の外用薬や内服薬で治療を行います。

蜂窩織炎 ほうかしきえん

皮膚の小さな傷から細菌が侵入し、感染することで腫れを起こします。感染した部位は赤く腫れあがり、痛みと熱を持ちます。体の熱も出る場合が多いです。悪化すると膿がたまる場合や、さらに深い部位に感染が広がる場合があるため早期の治療が必要となります。

「蜂窩織炎」が疑われる場合